最新ダイヤ改正 平成24年10月28日補訂

このコーナーでは、養老鉄道養老線についての基礎的な知識を深められるよう、養老鉄道の設立から現在の運行の形態までを紹介していきます。もっと養老鉄道についての知識を身に付け、みんなで養老鉄道を守り、盛り上げていきましょう!!
なお、内容は随時加筆して参りますが、ご意見・ご要望・ご質問等がございましたら駅長までご連絡下さい。




終点揖斐を目前に快走する
D06(C#606-506)サイクルトレイン。
養老鉄道の中でも古い部類に属する
旧ラビットカーの残党。
現在はラビットカラーに復元されている。
(写真マルーン時代の同編成の姿)



岐阜・三重両県にまたがり桑名〜揖斐(57.6km)を結んでいる養老線は、これまで近畿日本鉄道養老線として運行されてきたが、平成19年9月30日をもって近畿日本鉄道養老線としては廃止され、翌10月1日より、養老鉄道株式会社による運行へ移行した。養老鉄道は沿線自治体にも運行支援を求める形で、近鉄が線路や駅などの施設・設備や車両を保有し、それを借り受ける形で養老鉄道が運行・営業を行うことになった。沿線地域の足を守るために新しい形で運行がスタートした養老鉄道の開業の様子と概況について説明する。


●運行継続問題と養老鉄道の開業に向けて

 養老線の利用者数は昭和46年をピークとして、以後減少を続け赤字路線となっていた。これにより、近鉄は養老線の近鉄本体による運行を断念し、平成19年2月14日に設立された養老鉄道(第二種鉄道事業者:近鉄全額出資による子会社)により開業準備室が設置され、開業の準備を進めてきた。
 平成18年からは運行継続に向けて、金銭的支援を含めた協議を沿線市町と近鉄が行い、各沿線自治体が平成19〜22年にかけて、養老鉄道に対して支援を行なうことを決定した。
平成19年については、沿線自治体が養老線の固定資産税分(約1億1千万円)を、平成20〜22年にかけては、年間3億円を上限として、各年度の赤字額の半額を補填する。
なお、平成23年以降は路線の存廃の是非および支援内容について改めて協議することになっている。
この決定を受けて、近鉄は中部運輸局に鉄道事業廃止届を提出、平成19年4月20日に認可され、10月1日の養老鉄道の開業を迎えることになった。


●養老鉄道の運行形態

 養老線は正式には桑名〜揖斐間を表すが、実際の運行は大垣を境に「桑名〜大垣」と「大垣〜揖斐」に二分されている。大垣ではスイッチバックの配線となる上、直通列車も存在しないため、地元では桑名〜大垣間を「通称:養老線」、大垣〜揖斐間を「通称:揖斐線」と呼称するのが一般的であり、地域でこの通称が深く浸透している。(本稿においても以下、通称「養老線」「揖斐線」と表記する)
 種別は全列車が普通で、ワンマン運転を実施している。養老線では桑名〜大垣間の列車が概ね毎時2本、昼間時間帯はうち1本が桑名〜美濃松山・石津間運転となる。揖斐線は概ね朝方と・夕方以降の夜間は毎時3本、昼間は毎時1〜2本の運転である。
 車両の整備・運用を行う大垣検車区は近鉄時代から引き継いだ西大垣にあり、運行管理を行う養老鉄道の本社も同駅に設置された。
 運賃は養老鉄道への移行にあたり、普通運賃で10.5%、定期では通勤定期で21.9%、通学定期で41.1%の値上げとなり、全体平均では20.9%の値上げとなった。また、桑名から先の近鉄名古屋本線にまたがって利用する場合も近鉄と養老鉄道双方の乗車券が必要となり、実質的には利用者の負担増となっている。なお、近鉄時代に発売していた養老線全線が1日乗り放題となる「養老線休日フリーきっぷ」は、養老鉄道でも料金を据え置いて発売される(大人1000円 ・小児500円、土休日と春・夏・冬休み期間に発売)。


●乗車券類の販売や駅施設
 養老鉄道への移行にともなって、駅名標や案内板などの多くは新調され、近鉄時代と標示のデザインは同様ながら近鉄のコーポレートカラーからライムグリーンを基調とした新しいイメージカラーに改められた。駅入口に設置される駅名標には「養老鉄道」の文字も入れられている。また、養老線で実施されているサイクルトレインの乗車位置(前から2両目)標示もホームに明示された。
 乗車券等の発売については原則養老鉄道線内のみとされ、従来取り扱っていた大垣乗換のJR連絡乗車券や桑名からの近鉄・三岐鉄道北勢線等との連絡乗車券は一切発売されない。(定期券については連絡定期券が設定されている)
 有人駅に設置される自動券売機は、一般に食券販売機などで使用されている汎用タイプを利用しており、コストの削減を図っている。これに伴い従来はエンコード(磁気)券であったが非エンコード(非磁気)券となった。出札窓口には近鉄時代とほぼ同様式の特別補充券や硬券の入場券なども常備してある。列車は全列車ワンマン運転だが、一部の区間や列車には車掌が乗務し、検札や車内での乗車券の発売を行っている。この車掌が車内で発券する車内補充券も、近鉄時代は機械発券の磁気券であったが、養老鉄道では手書き券になった。車内発売用に記入式の車内補充券と、無人駅乗車用の200・250円区間の常備券が用意されている。
 近鉄名古屋本線と接する桑名駅にはホームに中間改札が設置され、検札・集改札がおこなわれることになり、中間改札には養老鉄道と近鉄の乗車券自動券売機が設置されている。当然ながら非エンコード券となったので養老鉄道の乗車券類では桑名駅の自動改札は通ることが出来ず、有人改札を通ることになった。


●サイクルトレインの運行
 近鉄時代に引き続いて、自転車を車内へ無料で持ち込めるサイクルトレインの運行が養老鉄道でも実施されている(播磨〜揖斐間)。平日の昼間帯と土・休日の終日が対象で、該当列車の前後には円形のサイクルトレイン標識板(HM)が掲出される。自転車を持った乗客は前から2両目に乗車することになっている。標識板は当初、助士席側前面に副標板を差し込んでいたが、乗務員の作業負担や安全性などの観点から、養老鉄道開業5ヶ月後の2008年3月からは乗務員室内から助士側前面ガラスにラミネート式のマークを掲出するように改められている。


●開業関連イベント

 開業日には、大垣10時36分発の揖斐行において出発式が挙行され、記念系統板を取り付けた604F(504+604)2連が大勢の関係者の見守る中で揖斐へ向けて発車していった。各駅窓口では記念乗車券や記念グッズなども発売され、開業日に早々と売り切れてしまうものが出るなど、大好評であった。

 また、開業日から記念系統板(HM)の取り付けが3運用の列車に行われた。(開業日や沿線イベント時等には4運用に掲出)記念系統板は「ありがとう・そしてこれからも 養老線」とデザインされたものが3組(通常は2組を掲出)と、鉄道友の会名古屋支部が製作した「祝 開業 養老鉄道」とデザインされたものが1組用意され、開業ムードに彩りを添えた。
 「ありがとう・そしてこれからも 養老線」系統板は揖斐線・養老線それぞれ各1編成に掲出され、各日午前中を中心に運用されたほか、開業日や沿線でのイベント時などにはさらに1組が掲出された。
「祝 開業 養老鉄道」系統板のデザイン・配色は編成の前後で異なり、「青色板:波で揖斐川の清流をイメージしたもの」と「緑色板:山形で養老山脈をイメージしたもの」が準備され、午前は養老線で、午後は揖斐線で掲出された。
 当初は開業から10月12日まで掲出の予定であったが、好評であったため11月4日まで掲出期間を延長した。

 さらに、記念系統板とは別に、一部の編成には車体側面に「ありがとう・そしてこれからも 養老線」(記念系統板と同一デザイン)のステッカーも貼付されていた。
 ちなみに、近鉄としてのさよならセレモニーは特に行われなかったが、9月中旬には記念硬券入場券が発売され、好評を博していた。また近鉄としての営業最終日となった9月30日には近鉄最後の養老線乗車券を記念に買い求める人が出札窓口に長蛇の列を作っていた。


●臨時列車の運行
 養老鉄道への移行後は、沿線でのイベントや催事開催時に臨時列車の大幅増発や、運用変更による増結(2連→3連)など、フレキシブルな対応が目立った。開業から1ヶ月経過した2007年11月だけを見ても、以下のような運転実績である。

 11月11日(日) 揖斐→大垣 3本臨時増発・定期列車全3両運転(いびがわマラソン)
 11月17日(土) 大垣→西大垣 4本臨時増発・桑名→駒野間列車延長運転(西濃まるごとバザール)
 11月23日(金) 揖斐→大垣 7本臨時増発・昼間帯20分ヘッド運転(さわやかウォーキング)
 11月24日(土) 桑名ー大垣 区間列車3本延長運転(紅葉の多度山・木曽三川展望)
 11月28日(水) 大垣ー養老 1往復臨時増発・区間列車3本延長運転(東海自然歩け歩け大会)

地域密着型の運行へシフトした結果、このような頻発な増発運転が実現しているが、あとはどれだけ養老鉄道利用者が増加するか、が重要である。地域イベントや催事に出向く際には、精々臨時列車はもちろんのこと、定期列車も含めた養老鉄道を利用することがこの臨時運行に応えることになり、ひいては養老鉄道の末永い存続につながるものであることを肝に銘じておきたい。

この臨時列車の運行は必要に応じて設定されているが、開業3年を経過した2010年頃には設定本数や期日もずいぶんと精選され、現在でも設定されている主な定番臨時列車は以下のようなものである。

 ■いびがわマラソン臨時列車(11月 揖斐線)
 ■さわやかウオーキング臨時列車(春期・終期 揖斐線・養老線)
 ■伊勢初詣関連臨時列車(1月 養老線) ※定期列車の時刻変更によるもの

設定数はかなり減っているが、これら残された臨時列車が今後も活躍してくれることを願う限りである。


●伊勢初詣団体臨時列車
近鉄時代から伝統的に年始(1月)の土休日を中心に運転されている臨時列車。
平成20年を例に取ると、1月5,6,8,9,12,13,19,20日の各日の運転で、運転概要は以下のようなもの。

運転区間 大垣〜桑名 1往復
        平  日:大垣757→桑名914 / 桑名1727→大垣1849
        土休日:大垣753→桑名914 / 桑名1729→大垣1849

ちなみに近鉄時代からこの臨時列車にはトイレ付きの600系3連車(D01またはD02)が限定使用されてきましたが、末期ではWC付き編成の場合でも使用不可となり、編成限定は解除されていました。そもそもこの臨時運用のために同編成が養老線転属時にトイレが新設されたものですが、その後D01,D02ともにB更新の際にトイレ自体を撤去されました。なお、まだ421系が活躍していた時代には425,426の各編成に同じ経緯でトイレが設置されていました。(特急時代のものを存置)なお、伊勢初詣臨時列車の利用には近鉄のゆめもうできっぷと養老鉄道ふくふく往復きっぷを購入し、かつ事前に乗車申込みした旅客に限られています。故に、ゆったりと伊勢参詣を楽しむことが出来るわけですが。

平成21年・22年の運転では土曜日の運転日が大幅に削減されましたが運転は継続されています。復路の運転時刻が約30分繰り上げられたのと往路の充当車両が2連車であったこと(平成21年はD23、22年はD21がB更新により五位堂に入場中で3連車が不足のため)が主な変更点になりました。
平成23年は第2週を除いて土曜日の運転がなくなり、平成24年にはさらに全土曜日の設定が無くなりました。逆に平成24年には沿線自治体による貸切伊勢臨が2日間運転されています。

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